細胞生理学講座

Dept.of Cellular Physiology and Signal Transduction
生理学はヒトの体の機能を学ぶ学問で、医学の基礎的分野の一つです。ヒトを含む生物はすべて細胞から成り立っており、ヒトの体の機能を調べるためには細胞の働きを理解する必要があります。「機能」や「働き」は時間の経過とともに観察されるもので、こうした変化こそが生命の特徴の一つと言えます。細胞生理学講座では細胞の「機能」に着目して、未解決生命現象を明らかにする研究を進めています。
准教授(Associate Professor)
佐藤達也(Tatsuya Sato, MD, PhD)
所属:医学部医学科基礎医学部門講座 細胞生理学講座 (循環器?腎臓?代謝内分泌内科学講座兼務)
   医学研究科情報伝達制御医学生体機能制御学細胞機能情報学

   Department of Basic Medical Science Dept.of Cellular Physiology and Signal Transduction
  •  研究テーマ:
   1)発生期の心拍動開始時におけるエネルギー代謝機構の機序解明
   2)糖尿病性心筋症における心筋イオンチャネルリモデリングの解明
   3)心不全の発症?進展における心筋ミトコンドリア鉄恒常性の役割の解明
   4)慢性腎不全モデルにおける心筋虚血再灌流障害のネクロプトーシス、フェロトーシスの役割の解明
  • 研究活動と展望:心拍動は個体の生命活動を支える根幹である。胎生期において心拍動開始時にはエネルギー需要が高まることが予想されるが、その詳細は明らかになっていない。心拍動開始前後における細胞内代謝機構を解明することで、心拍動開始のメカニズム解明に寄与するとともに、心臓の再生医療への応用も期待できる。また、Physician Scientistとして心血管疾患の発症?進展予防も重要なテーマと考えている。糖尿病や慢性腎臓病は心血管疾患発症の主要な危険因子であるのみならず、治療抵抗性の原因となっている。生理学の観点から糖尿病、慢性腎臓病がもたらす心血管疾患への影響を解明することで、新たな治療法の開発に貢献したい。

講師(Assistant Professor)
一瀬信敏 (Nobutoshi Ichise, Ph.D.)
所属 : 医学部医学科基礎医学部門講座 細胞生理学講座
   医学研究科情報伝達制御医学生体機能制御学細胞機能情報学
   Department of Basic Medical Science Dept.of Cellular Physiology and Signal Transduction
  •  研究テーマ :心拍動開始期における心筋収縮装置の発生機構の解明
  • 研究活動と展望 : 個体の発生において心臓はあらゆる臓器に先立ち形成され、血液が形成される前から拍動を開始するが、心拍動の最初のきっかけについては不明な点が多い。ラット胎仔の心拍動開始期の心筋サルコメア構造の発生に着目し、代謝との関連や、最初の心筋収縮が起こると考えられる細胞の特定、サルコメア構造の発達と心筋収縮の関係など、心筋収縮装置の発生に焦点をあてて研究を進め、「心臓拍動開始機構」についての新しい知見を蓄積したい。


助教 (Instructor)
房川祐頼 (Hiroyori Fusagawa, MD)
所属 : 医学部医学科基礎医学部門講座 細胞生理学講座(整形外科学講座兼務)
   医学研究科情報伝達制御医学生体機能制御学細胞機能情報学

   Department of Basic Medical Science Dept.of Cellular Physiology and Signal Transduction
  •  研究テーマ:
  • 研究活動と展望:

助教(Instructor)
小川俊史(Toshifumi Ogawa, MD, PhD)
所属:医学部医学科基礎医学部門講座 細胞生理学講座 (循環器?腎臓?代謝内分泌内科学講座兼務)
   医学研究科情報伝達制御医学生体機能制御学細胞機能情報学

   Department of Basic Medical Science Dept.of Cellular Physiology and Signal Transduction
  • 研究テーマ:
  ?糖尿病合併心不全における核酸代謝を中心としたエネルギー代謝機構の解明
  ?二次性サルコペニアにおけるエネルギー代謝機構の解明
  • 研究活動:筋肉量と筋力の低下で定義される『サルコペニア』は、原因によらず、生活の質を低下させるのみならず、慢性疾患の予後にも大きな影響を及ぼすことが知られている。その一方で、エビデンスの高い治療法は確立せず、超高齢化社会を迎えた本邦において大きな課題となっている。サルコペニア発症の分子機構について、骨格筋の興奮収縮連関を支えるエネルギー代謝機構は未だ明らかではない。筋生理学的アプローチ、非バイアス的かつ網羅的代謝物解析、ミトコンドリア機能解析の観点から包括的な実験を行い、骨格筋萎縮における脂肪酸?アミノ酸?核酸代謝を中心としたエネルギー代謝機構の全容を明らかにしたい。