理事長?学長室から2023

21新浪体育5年12月20日発行

はじめに

 今年も残り僅かとなってまいりました。このところ国内外とも暗いニュースが多い中、大谷翔平選手のドジャース移籍決定は今年を締めくくるにふさわしいビッグニュースでしたね。なぜか自分まで、これで安心して年が越せるような気分に浸っています??。
「理事長?学長室から2023、第21号」をお届けします。

1.保健医療学部開設30周年記念式典?祝賀会が開催されました

12月17日、札幌医大臨床講堂にて「保健医療学部開設30周年記念式典」が開催されました(写真1)。式辞?祝辞に続き、記念講演として、国立長寿医療研究センター老年学?社会科学研究センター長の島田裕之先生に「健康長寿の実現を支援する社会システムの構築」と題したご講演をいただきました(写真2)。引き続き、本学卒業の同センター研究員の牧野圭太郎先生と山口 亨先生にも登壇いただき、本学在外時の思い出や今後の抱負などを語っていただきました。
記念式典終了後、場所を札幌プリンスホテルに移し、「記念祝賀会」が行われました。祝賀会では、本学保健医療学部作業療法学科2021年卒業で、現在ホリプロ所属の歌手?俳優として活躍されている竹野留美さんに出演していただき、素晴らしい歌声を披露していただきました(写真3)。これまで、医療界はもとより文壇などに幾多の人材を輩出してきた本学ですが、ついに芸能界にも進出することができました! 竹野さんの歌手、俳優、そして作業療法士としての「3刀流」の活躍を応援したいと思います。

2.山本尚子先生(前WHO事務局長補)の講演会が開催されました

 12月13日、札幌医大臨床講堂において、昨年までWHO(世界保健機関)の事務局長補を務められていた山本尚子先生(本学1985年卒、現国際医療福祉大教授)をお招きし「国際医療セミナー」を開催しました(写真4、5)。山本先生からは、COVID-19パンデミックが世界に格差や不平等をもたらしたこと、そしてそれらに対して、WHOでは「パンデミック条約」の制定などにより、世界的な健康保障(global health coverage)をめざしていることなどをお話しいただきました。そして、日本からより多くの医学的論文の発信が求められていることを強調しておられました。
 会場には多くの医学部3年生の学生さんの参加があり、世界を舞台に活躍される先輩のお話を熱心に聴いていました。2名の学生さんから、なかなか良い質問もあり、山本先生は大変喜ばれていました。
 これからも、学生や若い医療者の目標となるような、日本?世界で活躍する先輩たちの講演や対談の場を設けていきたいと考えています。

3.医学部附属フロンティア医学研究所が新たな3研究所に再編されました

 11月1日付けで、これまで7部門により構成されていた医学部附属「フロンティア医学研究所」を、それぞれ2部門からなる3つの研究所、すなわち「がん研究所」「再生医学研究所」「免疫学研究所」に再編いたしました(図1)。
この度の再編により、各研究所の研究の内容や方向性がより明確になり、さらなる先端的医学研究の推進、そして若手研究者の育成が促進されることが期待されます。
今後、附属研究所の再編を記念して、シンポジウムや講演会の開催を計画しています。

4.「ポータブルカルテ」がグッドデザイン賞を受賞

 本学と富士通、アップル社が共同して2023年9月より運用開始した、次世代スマート診療「ポータブルカルテ」が、グッドデザイン賞(公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました(図2)。
 これまで医療機関の中だけで扱ってきた診療データを、患者本人の意思でスマートフォンアプリを通して閲覧することができるサービスのデザインが受賞対象となりました。受賞企業は富士通株式会社になります。
審査員からは、「データポータビリティの仕組みは、そのニーズは理解されつつも、社会実装がなかなか進んでいない分野である。個人が健康データをウェアラブルデバイスや家庭用医療機器で取得?管理することが一般化している中、本対象の取組が社会的にさらに広がっていくことを期待したい。」とのコメントが出されています。
今後「ポータブルカルテ」の対象がより多くの患者さん、診療科、医療機関に広がりを見せ、北海道の地域医療に貢献していくことを願っています。 

おわりに

 12月8日~9日に開催された日本疼痛学会(福島市)の懇親会で、「ウクライナの歌姫」ナターシャ?グジーさんの演奏を聴く機会がありました。平和への願いを込めて、民族楽器「バンドゥーラ」を弾きながら歌う、その透き通った歌声は心に深く響きました。ナターシャさんはコンサートなどを通してウクライナ支援活動を行っています。ぜひYouTubeで聴いてみてください。
 本学出身の国境なき医師団の中嶋優子先生が、パレスチナ?ガザ地区の病院での医療活動から帰国し、記者会見で現地の惨状を涙ながらに訴えておられました。命の危険を顧みず紛争地域に赴く姿勢には、ただただ頭が下がります。
 新しい2024年には少しでも世界情勢が好転し、無辜の命がこれ以上失われないことを祈りたいと思います。