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保坂 到 さん(実習年度:平成28年)

入院から退院までの治療計画が様々であることを学びました

保坂 到 さん(留萌市立病院 循環器内科)

地域包括型診療参加臨床実習を選択した理由は?
配属となる病院を初期研修先として考えていたことにあります。他の選択クリクラ期間中に認められうる病院見学と比べても目線はより医師に近く、期間も1ヶ月と比較的長期で実習させていただけるため、自分がそこでどのように働くことができるかということを実習を通して深慮することができたように思います。
実習先での1日のスケジュール
毎朝8時から行われる回診から一日の実習が始まりました。木曜日は例外的に、7:30よりプライマリ?ケア?レクチャー?シリーズというネット講義を拝聴してから回診しました。回診が終わり次第、救急外来からのコールを待ちつつ先生方の病棟業務に随伴し、病態の把握や使用される薬剤について指導を受けていました。日中の救急外来は、主に救急車の対応をされる先生にご指導いただき初療に参加しました。平均2人程の患者さんの診療に参加し、問診はもとより侵襲のないものであれば身体所見も自由にとらせていただき、これらをもとに病態についてのディスカッションを行いました。午後からは病棟患者さんの心エコーや核医学検査に同行したり、CAG/PCIの見学があったり、サテライト実習として振興局やるもい健康の駅にも行きました。また、急性期の看取りの経験をしました。その後駆け付けられたご家族への死亡宣告、ご本人のお見送りまで先生に随伴していました。いつかは経験するだろうと漠然と思っていたことが急に、さらにこのような学生のうちに起こったことは私にとっては衝撃的でしたが、医療現場のシビアな面を再び思い出すことができたように思います。
実習を通して得たもの、学んだことについて
特に感じたのは、既に学んでいるはずの知識が思い出せないというより、当たり前のことかもしれないですが実臨床での知識の生かし方や知っていることの関連付けという側面が今までの学習においては疎かになっていて、医師としての仕事にはある程度の考え方の切り替えが必要なことを実感しました。症状から病態を把握すること以上に、次に行うべき検査や治療、薬剤の選択方法や次点に使うべき薬剤の選択基準、退院までの治療計画など、一人の患者さんがどのように入院されどのように退院されていくかをイメージできていないことに気づかされました。これを地域的な医療連携という視点で考えた場合、特に実感したのは患者さんの退院のあり方でした。大学病院での実習では特定の症状もしくは疾患を治療することが退院の目標であると意識していましたが、そもそも入退院を繰り返しており症状をコントロールすることが退院の目標である患者さんや、コントロールできたとしても以前の生活には戻れず介護保険等を利用し次の施設へ移ることが目標の患者さん、介護施設との折り合いがつかず長期入院となる患者さんが地域市中病院に多いという現状を知りました。前述した治療計画がイメージできていないと感じたのは、大学と市中での退院目標がそもそも異なっていることが具体的に分からなかったためだと思います。このような意味で、たとえ同じ症状や疾患を持つ患者さんにあっても、患者さんはもとよりその病院自体のセッティングにより退院までを含めた治療計画がさまざまであること、また複数規模の病院で経験を積むことの意義を実習を通して少しばかりですが学ぶことができました。
後輩へのメッセージ
他のクリクラ実習、もしくはクリクラ期間中に認められている病院見学で大学病院以外の外病院へ行く機会は多いと思いますが、一ヶ月にわたり一つの病院を見学しつつ実習も可能で、なおかつ各診療科に単騎で望むこの包括実習は大変貴重な機会になります。医師はもとよりメディカルスタッフの方々との距離も近いため病棟チームの一員としてより実習を深く経験でき、働いている自分というものを想像しながら学ぶことができました。自分ひとりでその診療科に配属されるというこの実習のスタイルもこれに大きく寄与しているように感じました。学ぶこと、感じることは人それぞれであってこの体験記もあくまで一人の参考例にしか過ぎませんが、道内の市中病院を研修に考えている方にとっては特に実りの多い実習にできると思います。

最終更新日:2015年10月04日




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